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こんにちは、葉明です。
 瑠璃光寺はわたしもいきましたよ!


 修羅場です(にこ!)


 さすがにこの一週間はノーお仕事宣言しました。
 ……いえニューお仕事は終わってからねって話で、今やってる話の展開があったら別ですよ。
 夏の葉明は高いんだからなくそう…。


 葉明の仕事は確かに繁忙期は自分では選べないんですが、NOも言えるお仕事なのでここは言いますとも…。

 ちなみにくのいちは並行して書いてるので、なかなか終着点が見出せません。
 ツイッターでお話したので言いますが、
 景時は九望かな?って展開で進んでいます。朔つおい。

 知盛はちょっと積極的な知盛と頭脳ゲームです。望美の性格的にはやはり景時本と近い感じ。
 ヒノエはあっつんがそわそわしています。……まあヒノエが幼馴染ならソワソワすると思います。
 銀は銀が全開で泰衡と望美が引き気味です。ヒノエがちょっとあちゃーな思いをしております。

 でもこれだけ書いてもなんなので、序章だけ公開しますね。

 まずは、知盛から!
 お楽しみいただけましたら幸いです。


 ではでは、また。

 本日も拍手・ご来訪、誠にありがとうございました!
 明日は大暑です。
 熱中症、お気をつけて!!
 




拍手[3回]









「―――お呼びでしょうか、泰衡様」

 柳ノ御所である。
 平泉を治める奥州藤原氏の総領たる泰衡にとって住いでもあり執務場所でもあるそこは、常に人払いがされている。
 そのため、昼間でもしんしんとしていて闇が深い。
 その闇の中から忽然と少女は現れた。

「近くに」
「は」

 主の命に従って、闇の中から溶け出るように現れた少女は更に部屋の奥に進んだ。
 泰衡はその少女を眉を顰めて見つめた。
 ―――不思議な少女である。
 年の頃は十六・七。あざやかな桜色の髪が印象的で、どう足掻いても闇の中に溶けいるはずもないと思うのに、どうやったものか隠行が少女は得手なのである。ちなみに名を春日望美という。
 呼びつけておきながら何だが…泰衡は今日こそは望美の現れる瞬間を先回りしてやらんと気を張っていた。しかし、やはり分からなかった。
 こうして現れてみれば見落とすはずもないような、匂い立つ美しさの印象深い少女であるのにどういうことだろうか―――このからくりを、望美を自分の配下に置いてから一年余り、泰衡は解けたためしがない。
 だが、そのような内心など一切表には出さずに、泰衡は切り出した。

「お前に頼みたいことがある」
「何なりと」

 顔を伏せたまま、従順に望美が応える。が。

「数日内に福原に向かい、京の様子と平家の動向を探ってこい」
「――――」

 今度は即答しなかった。
 いつもは二つ返事な――主従であるから当然である――少女の奇妙な沈黙を泰衡は訝しんだ。

「……どうした?」
「い、え……わかりました」

 あまりにも不自然な間である。
 いつも通りにかしずきながらも、望美には葛藤の色が仄見えた。
 有用な配下とはいえ、たかがくのいち。
 その心情や不安まで泰衡が思い量ってやる必要など本来ならばないのだが。

「……何か懸念があるのか」
「えっ…」

 まさかそんなことを問われるとは思わなかった望美は思わず顔を上げたが、泰衡の仏頂面に慌てて顔を伏せた。

「い、いえ、何も」
「何もないわけがあるか。さっさと言え。あまりに不利があるようなら派遣する者を替えねばならぬ」

 泰衡の言うことはもっともで、望美を諜報に派遣することで問題が生じるくらいなら人を替えるべきである。諜報向きのしのびは何も望美だけではないのだから。……が。

「で、ですが…」
「何だ」

 さっさと言えとばかりの泰衡に、迷いまくった顔つきで望美は質問を返した。

「替えられますか…?」
「………」

 泰衡は一瞬詰まり、押し黙った。
 ……やはり、何か問題はあるのだろう。
 が、望美の質問が思い上がりや単純な人手不足などからきているものではないと分かるだけに、泰衡は黙るしかなかったのである。
 ただ京に潜入するだけならば、望美でなくてもよかった。
 平家に遣いを出すだけならば、他に適任者はいた。
 しかし、此度の任務は「滞在」である。
 その上、様子を探るために取り入るべき相手は、下っ端の郎党相手などではなく平家の中枢―――平清盛なのだから。
 泰衡は深い息をついた。

「……しっかりと励め。連絡は欠かすな」

 それは命令の続行に他ならない。状況次第では帰還を命じてもらえるのかもしれないが―――

「はっ」

 望美は短く声を発して頭を垂れた。
 事態は緊急とはいかなくてもいつどう転ぶか分からなくなっている。
 確かにあの男を含め、平家の動向は望美も知っておきたかったから、この命令を拒む余地は端からなかったのである。




     *********




 場所は変わって、福原。
 京より少し西に下った場所にあるそこには、雪見御所といわれる邸がある。
 御所、と呼ばれるのも伊達ではない。
 武家という、この国の古来の仕来りにおいては下層の出でありながら位人臣を極めた相国・平清盛の居所だからである。
 しかし、もし、清盛が謙虚な人柄であったのなら、この邸を御所と呼ばせることはなかっただろう。
 御所とはすなわち主に帝など特に位の高い貴人の居宅を指す。つまり清盛が現在の帝を真に尊重していれば、このような呼称を許すはずもないのである。
 しかし、清盛は人がそう呼ぶままにしている。
 だが、それも当然かもしれない―――ちなみに、帝を蔑ろにしている、というわけではない。
 清盛が現在の帝・安徳帝の外祖父であり、その帝が現在御座所にしているのが、他ならぬこの雪見御所だからである。
 帝が本来の居所である京の御所にいないのには、無論訳がある。
 ―――遙かな昔、壬申の戦よりも前のこと、世界はまだ応龍の加護を手に入れていなかったという。
 京もまだみやこではなく、外敵との戦いも頻繁にあった頃、時の帝が当時の実力者であった皇太子の唱えた遷都を拒んだことがあった。
 度重なる遷都による民の負担を慮ってのことだったが、皇太子による遷都は強行された。
 新しきみやこには多くの臣と皇后さえも移動し、古きみやこに残ったのは帝と皇子のみだったとか。
 そのようなはっきりとした物別れでこそないものの、清盛もまたこの福原の地を新しくみやことするべく画策し、まずは一族と帝を連れて京を離れたのだったが―――ここに問題がある。
 昔と違って今のみやこは、衰えはあるにしても応龍の加護があるのだ。
 ここを簡単に放棄するには、いかに清盛の号令であってもあっさりとはいかなかった。
 更には頼みにしていた長男が病に臥したのを境に、さしもの清盛の勢いにも翳りが見えた―――と思われたのが昨年の夏。
 運気は再び清盛の方に向き始めた。
 清盛の失速を機に平家の凋落・源氏の台頭を目指した源氏のある一派が仕掛けた戦を、平家の四男が圧倒的な武力で叩きのめしたのである。
 事態を興味深く眺めていた者たちは、ここに平家勢力健在を見た。
 更に元より病がちで余命幾許もないはずだった長男も若返ったかのような姿で元気に参内し始めた。
 一時はこれから源氏と平家の壮絶なる勢力争いが始まるのではないかと噂されたが―――
 平家は、特に源氏一派の派兵を咎めなかった。
 何もなかった顔で清盛は、家督を健康になった長男に譲って雪見御所にそのまま隠居し、孫の帝を可愛がっている。
 源氏も逸った勢力を身内で処断したものの、この件に関し対外的には沈黙を貫くことにしたようだ。
 両者がこうなってしまえば、漁夫の利を狙っていた貴族たちはもっと何もできない。
 しかし、このまま何も起きないはずがない。
 かくして、緊張状態はそのままに京のみやこは遷都か否かで今日も揺れ続けている。






「……つまらぬな」
「兄上?」
 
 宮中である。
 不意に大きくも小さくもない声で呟いた兄に、隣の男が首を傾げた。
 遅れて、自分たちの噂話を聞かれていたことを察した足音が遠ざかっていき、なるほどと理解して男は甘い笑みを浮かべた。
 宮中の甘い毒、腐り果てた水の底は、戦場を知ってしまった兄にはどうにも物足りなく思えてならないと見える…。彼はふと、その気になった。

「そういえば兄上、平泉より使者が来るそうですよ。また、彼女でしょうか…」

 弟の不謹慎な微笑みに、男――知盛は僅かに引っ掛かりをおぼえたものの、それは確かに朗報だった。
 あの女が来る?

「……詳しく聞かせろ」
「はい、実は…」

 話半分のところで、知盛は宮中の退出を決めた。
 ……この所為で望美は、雪見御所に入る前にこの危険な男に捕まることになるのである。



 重衡が余計なことを…(爆)

 ここではどうやら平家が勢力を保っているようです。
 望美が何をしでかすのか、楽しんでいただければ幸いです。


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