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 こんにちは、葉明です。

 頑張ってますよー!
 

 今日はマッサージしてもらってきました。この一週間が山場だから…!
 先にご褒美をもらってしまうと逃げられないので、退路を断つ感じでもあります。
 
 「こってますねー」
 「これからもっとこるんですよー」
 「……何する予定なんです?」

 うふ☆

 白鳥エステさんの話は何回かしましたが、そこじゃありません。
 白鳥さんなら「あっ同人誌の修羅場です!」って返します。近所でそこまでバクロできるほど心臓強くありません。はい。
 近所なんですが、おねえさんが癒し系です。
 あんまりゴリゴリ系ではないので、直後に「わあ変わった!」なサロンじゃないんですが、一週間くらいなんとなーく体調がいいんですよね。
 なのでありがたい場所として、ヤバイときに頼っています。

 とりあえず、やるぜ!



 ということで、ヒノエを畳んでおきますね!
 こんなに載せていいんですか?とのことですが、だいたいとらさんに載せるサンプルと同程度の量ですね(2500~3000字程度)
 楽しんでいただけたら幸いです^^


 ではでは、どうぞ。
 本日も拍手・ご来訪、誠にありがとうございました!




拍手[3回]









「えっ、熊野ですか?」
「そうだ」

 望美の前でニヤリと笑ったのは、主であり平家の長・清盛である。
 望美は……内心で首を傾げた。何故熊野?

「情勢を探ろうというのなら、源氏……鎌倉ではないのですか?」

 もしくは木曽。どちらも清和源氏を祖としているのだが、この二者は常に主導権を巡って醜い内輪の争いをしている。
 が、それも隠れ蓑ではない、という確証はない。
 だから探るのならどちらかだと望美は思ったが。

「いいや、熊野だ」

 清盛はもう一度言った。
 面白がるかのような表情に、くのいちごときに意見されたことへの苛立ちは見られないが、清盛に臣下の分際で何か物申すなどこの少女くらいなものであるため周囲はハラハラしている。
 その命知らずなところを清盛は買っているのかもしれないが、そんな待遇は清盛の気分次第で次の瞬間にも変わるかもしれない泡沫のものに過ぎない。
 それは、清盛が気まぐれに寵愛し、打ち捨てられた白拍子・祇王や仏御前の例からも明らかである。
 あまり逆らわないでくれ―――周囲の懇願の眼差しに望美が気付いたかはさだかではないが。

「……わかりました」

 まだ納得がいっていない、と如実に顔には書きつつも、望美は従順に頷いた。

 望美は清盛が拾い、仕込んだくのいちである。

 清盛が言う言葉に逆らうことは最終的にはない。
 だが、疑問は疑問として言うし、文句もかなり素直に言う。
 このあたり、清盛の甘やかしの影が見えるが……誰も表立ってそれを咎めようとはしない。
 それくらい、平家の中において清盛は絶対だった。
 そんな一枚岩の平家からすれば、仲間内で延々争う源氏など、その気になればいつでも倒せるような存在なのかもしれない。
 少なくとも清盛はそう思っているのだろう。
 だから、清盛の視線の先は、現在己の陣営と並んで二強といわれている源氏ではなかった。

「頼んだぞ。この機に京の奴らをぎゃふんと言わせてやりたい。熊野の助力があればそれが叶う」
「ぎゃふん…」

 望美は若干遠い目をした。
 清盛は豪快に笑っている。
 だが、これで清盛の目的ははっきりした。

「清盛様は、京を落とすおつもりなのですね」

 いっそ淡々とした望美の台詞に、今更にハッとした顔の者は多かった。
 京を落とす―――ぎゃふんとか言うから清盛の台詞の意味を誰も深くは考えなかったが。

「兄上、そ、それは…」
「忠度、わしはやるぞ。いいな」
「………」

 いいはずはなかったが、忠度は黙り込んだ。
 他の者も似たようなものだ。
 京に手を出す―――それだけでなく、落とす。
 そこまで考えていたとは思わず、それはさすがに止めたいと思っていても、清盛に逆らえば京の前に落ちるのは自分の首かもしれない。
 いや、自分だけで済むのならそれでもいいが――
 仄暗く落ちた沈黙を気に留めずに、清盛はにっかりと笑って望美の頭を撫でた。

「そういうわけじゃ。頼むぞ、望美」
「頑張りますけど…はあ…」

 望美は物憂げにため息をついた。

「なんじゃ、これ見よがしに」
「……この前、弁慶さんに頭領の人柄を聞いていたので、ちょっと憂鬱なだけです」
「ほう?」

 弁慶と言われて清盛の眉が興味深げに上がる。
 だが、望美は詳細を語ろうとはしなかった。
 実は弁慶以外からも情報は既に得ていたが…どちらにせよ伝聞である。直接会ってもないのに評価を下すのはおかしい気もしたし。
 とにかく、善は急げだ。
 望美はさっさと立ち上がった。

「とりあえず、行ってきます」
「おう、気をつけてゆくがいい」

 わざわざ口を割らせるほどの興味はないのか、清盛が豪快に笑って出立を許す。
 居並ぶ者たちも半数は複雑そうな顔をしていたが、表立って止める者はやはりいなかった。







「行くのか、もう」
「敦盛さん」

 清盛の前を下がった望美は、その足で荷造りを終え、出立間近であった。おろしていた藤色の髪は上の方で束ね、忍びの装束に着替えている。
 ……望美は意識していないようだがいろいろと目のやり場に困る刺激的な衣装である。
 敦盛はほんのりと目元を赤らめ、俯いた。

「そ、その格好で行くのか?」
「えっ、そ、そうですけど…変ですか?」

 望美は服の裾をぴらっと持ってみた。
 丈は確かに短めだが、この衣装は暗器の隠し場所など色々工夫されていて望美のお気に入りである。
 ここから熊野までの道のりは遠い。
 自分は姫でも女房でもないのだから、壷装束や牛車で行く気はなかったし、これが動きやすいのだが。

「い、いやっ、へ、変ではないが…!」

 むしろ大変よく似合っている。だが、似合うからこそ別の危険が脳裏に過ぎるのだ。
 ―――ヒノエも平家の名には多少は遠慮してくれるだろう。無体はしないと信じたいのだが。

「……言伝ですか?」
「えっ」

 敦盛の懸念など思いつきもしない顔で、望美は敦盛の顔を覗き込むように優しく微笑んでいる。

「幼馴染なんですよね、敦盛さんの。それで来られたんじゃないんですか?」

 ―――望美はくのいち、そして敦盛は清盛の直系でこそないが平家の一族である。
 身分というより立場の差があるはずだが、そこは平家である。
 特に、清盛に拾われてきた望美は、幼い頃は邸で同じ年頃の子供たちと暮らしていたこともあり、このような口を利くことが許されていた。
 身分差や立場の違いを互いに弁えてはいても、望美の笑顔には屈託がない。

「よかったら承りますよ?」
「あ、いや…」

 敦盛は恥らうように下を向いた。望美を見ていると、邪な心配をした自分が恥ずかしく思えてくる。

「ヒノエへの伝言ではなく……無事に帰ってきてくれ、と貴女に言いたかっただけなのだ」

 望美はきょとんとした。無事に?
 戦場に行くのでもないのに、と一瞬思った。
 だが、その心は嬉しかった。
 ……自分が拾われた経緯を思えば尚のこと。

「わかりました。必ず」

 にこっと望美は微笑んで頷いた。その笑みの奥に潜む決意に、敦盛は最後まで気がつかなかった。






         ********






 熊野は、たとえば京や鎌倉のように、ある場所を指す地名、というだけではない。
 京から南に下ったところにある熊野は、新熊野権現を入り口に、本宮・新宮・那智の三社からなる地方勢力の総称である。
 三社からなるだけあって、熊野は内部での争いが絶えなかった。これを収めたのは先代別当の湛快であるといわれている。
 そして、当代は―――


「湛増様、いずこですか?……湛増様っ!」

 またいない!
 平家からの文を手にした女房はぷりぷりと怒りながら息を吸い込んだ。

「ヒノエ様っ」
「ほいよ」

 呼ぶ名前を変えた途端、いずこからともなく現れた紅の髪の少年を、女房は困った顔で振り返った。

「……聞こえておいでだったのではないですか」
「ふふ、そうかな。で、何だい?」
「平清盛様から御文でございます」

 ヒノエは僅かに顔色を変えた。清盛だと?

「貸せ。―――ふうん…」

 文を一読。少年は舌なめずりする。
 その様子を、不安な顔で女房が見つめた。

「……どうなさいますか?」
「さて、ね…」

 ヒノエは明確には答えず、笑みだけを返した。
 この時点でまだ、ヒノエは何も決めてはいない。
 ただ、運命が動き始めた予感だけを感じていた。




 ついあっつんを登場させたくて(望美と平家の間の温度?気安さをこのへんで書きたかったんですね)ヒノエが少ないです。
 でも、ヒノエが本名では呼ばれたくなさそうですね?
 この辺もキーワードになります^^

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