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 こんにちは、葉明です。
 
 昨日は数日分のごはんの仕込をしていました。
 クックック…これで数日は楽になりますよ~
 具体的には、小あじを南蛮漬けにしたり、ぶりを西京漬けにしたり、鶏ももを塩麹漬にしたり、豚バラブロックをオリーブオイルとローズマリーで漬けたのと角煮用に茹でたりしました!
 お野菜系はキャベツのマリネと茄子とピーマンの揚げびたしくらいですが、野菜はちゃちゃっと作れるのでいいんだもん!

 メインの何が問題って保存ですよね。
 今そんなに悠長に買い物にいったら時間的にもですが陽射しで死にます。
 一回外出すると、気分転換にはなって楽しいんですが、やっぱり体力ごそっといかれます。
 なので、ちょっとまとめて作ってみました!

 ここ暫くの難点はお野菜が高いので種類がたくさん買えなくて、副菜がほぼローテになってる問題なんですが…が、我慢してもらおう!!

 
 頑張って食べて、体力維持して書きます~
 ……倒れるときは睡眠か食事かどっちかが足りないですからね(--;)
 皆様もお気をつけください!


 インテのスペースが決まりました!

 遙かのスペースにはわたくし葉明が、狼陛下のスペースには那由多がおります^^
 レアキャラ・那由多。
 是非会いにきて下さいませww

 この頃には暑さが少し落ち着いているといいなあと思いますね


 では、今日は銀の冒頭をお楽しみください^^


 本日はこれで。
 本日も拍手・ご来訪、誠にありがとうございました!





拍手[3回]






 少女がこうべを垂れたとき、さらさらと流れる髪が藤色の滝となって少女の容貌と表情を隠した。

「お初にお目にかかります。私は熊野よりの使者で望美と申します」

 慇懃、丁重な使者の礼である。
 泰衡に成り代わってこれを受けた銀は、甘い、見る者を蕩かすような微笑みを浮かべた。

「これは―――ご丁寧に痛み入ります。私は平泉の総領・泰衡様の従者で銀といいます。以後お見知りおきを…」
「は、よろしくお願いいたします」

 銀の笑みを直視しない望美の声に揺らぎはない。
 もしや、実際に見ても揺らがないかもしれない。
 銀は好奇心半分に、望美を促すことにした。

「望美殿、私は泰衡様ではありません。どうか顔を上げてください」
「―――はい」

 顔を上げた少女は、絶世の美貌―――というわけではなかった。
 美しさでいえば、銀の方が格段に上であろう。
 だが、銀は思わず息を呑んだ。

(何という翠だろう―――)

 少女の特徴や美点を挙げるとき、まず目に付くのはやはり藤色の髪だろう。
 長く艶やかな髪は貴族階級においても通じる美女の条件である。
 更には少女の肢体も目を惹く。
 くのいちの装束は色合いが抑えられ、いっそ素っ気無くさえ見える上に肌はほとんど露出していない。
 しかし、身体の線にピッタリと沿った衣装はなかなかに艶かしく、いっそ何も着ていないよりも想像を掻き立ててくる。
 が、銀が魅了されたのは少女の瞳であった。
 くのいちらしく抑制された表情の中、吸い込まれそうなほどに瞳の翠色が印象的であった。
 深い森に隠された泉の奥、あるいは美しき熊野の海を映したかのような翠は、それだけで銀の心と言葉を奪ったかのようだった。
 だが、いつまでも呆けてはいられない。

「―――銀殿?」
「っ…」

 ほとんど魅了されるように見つめていた瞳が訝しげに眇められてようやく、銀はハッとした。
 そうだ―――今の自分は主の名代である。
 そして彼女は、取引相手。
 やすやすと絡めとられてはならないし、反対に簡単にそっぽを向かれても困る。慎重に相対せねば。

「失礼いたしました、姫」

 美しさの粋を集めて蒸留したかのような銀の笑顔に、望美は微妙な顔をした。

「……私は姫ではないのですが」
「私にとっては変わりません。主より貴女のことは丁重に遇せよと申し付けられておりますから」

 銀の微笑みも声音も偽りの黒が滲む余地すらなく完璧だった。が、実は完全に嘘八百だ。
 泰衡は熊野の使者を「適当に引き留めておけ」と言ったのであって丁重さなど求めていない。
 望美にもそのあたりは薄々わかるのか、違和感しかないと顔に書いて押し黙っている。
 ―――そう、必要なこと以外は口を噤み、くのいちらしく表情も無表情に近い佇まいであるくせに、この少女は言葉よりも雄弁に瞳が色々語るのである。
 それが銀には興味深い。だが、それもまためずらしいことだった。

「……姫以外で呼んでいただきたいのですが」
「では、考えておきましょう」
「………」

 いやいや考えるまでもなく望美と――正確には望美殿と――呼んでくれと望美は思ったが、何故かこの相手には通じない気がした。
 そして、他に何か言って言質を取られたくもない。
 とりあえず、男の気が済むまで待つしかないのだろうか―――果てしなく嫌なのだが。
 若干引き気味に男を見つめた望美だったが、この男の前から逃れる術は今のところない。
 目の前の厄介そうな男を繫いでおくことが望美の、ひいては熊野の目的に必要だからである。
 望美はこっそり―――銀にはバレバレながら、重いため息をついた。






 源平の争乱―――近年特に激しくなってきたこの両者の争いは、この国のどの勢力にとっても無視し得ない規模になりつつあるが、望美の属する熊野ではそう重要視はされていなかった。
 どちらが勝とうが熊野の地位や現在の所領が脅かされるという恐れが、根本的にないからである。
 緑深き熊野。
 熊野信仰、という言葉がある。
 熊野は古代より神秘的な聖地とされ、修行者の多い土地であったが、白河上皇の熊野御幸があって以来、熊野には政治権力を背景とする宗教的権威が生じるようになった。
 つまり、特別な場所なのである。
 これを取り込もうとする勢力はあれど、崩そうという愚か者はいないだろう―――そんなわけで、どの勢力が勝とうが熊野の独立性は保たれる見込みだ。
 熊野は雄大で富も大きい。
しかるに主導権を欲して内部での争いもまた絶えなかったが、これも一代前に一応の収束を見た。
 熊野は今平和の中にあり、且つ他者からの崇拝と繁栄を恣にしている。
 そんな熊野にとって源平の争いは対岸の火事に過ぎないのである。
 が、まったく関わらずに他の陣営がこれで利権を得るのは気に食わない。
 戦とは、畢竟、利権の塊であり、それによって動く金は平時の何倍にも相当するのである。
 それをみすみす見逃す気にはなれない。
 熊野三山、今でこそ宗教者としての一面がつよく押し出されているが、別の顔に熊野水軍、海賊としての一面を持つからである。
 熊野としては、この戦い、できるだけ長く続くか、勝者となる側に加担したいと、虫のいいことを考えている。
 そのために監視が必要なのは、源平・貴族勢力のみならず遠き北の地にも存在する。


 奥州藤原氏。
 平泉を本拠として独自の黄金文化を築く独立国である。
 ここも今のところ、源平の戦には我関せずの態度をとり続けている―――表向きは。
 だが、実際は先の源平合戦で敗れた源義朝の遺児を匿う一方、平家とは貿易などで友好な関係を続けている。
 また、院近臣の娘とも婚姻するなど貴族とも近い。
 こうしたどちらに加担するともしれない状態で、この国で一番の財力を持つ平泉はいずれの勢力にも危険であり、魅力であった。
 望美が派遣された目的は、総領の篭絡にある。
 しかし、かろうじて客分としての滞在は許されたものの、総領への目通りは濁されたままだ。
 望美は正直、まったく自信がなかった。
 しかし、やらねばなるまい。
 それが頭領の命であるのだから。






           ********






 そんな風に望美は責任感半分、失敗の予感半分で平泉に赴いたのだが、それは周りの見立ても同様なのだった。

「頭領、本気なのですか?望美にあのような…」
「ああ、泰衡をその身で篭絡してこいって言ったことかい?」

 とんでもないことを軽く笑って口にしているのは若干十七歳の少年である。名をヒノエ。
 若き頭領の豪快な無茶振りに振り回されることしきりな烏は渋面で言った。

「……それです。……可能だと思いますか?むしろ、純朴な娘の方向性で誑し込む方が目があると思うのですが……」

 言っていることはこちらも酷かった。どちらにせよ誑し込むんじゃないですか、とここに望美がいたならげんなりしつつ言ったかもしれないくらいには。
 烏の提案にヒノエは紅の瞳を瞬かせた。

「あいつはくのいちだぜ?イロの一つも使えないわけじゃないだろう?」

 望美の年も十七。
 この世界ではとっくに嫁いでいてもおかしくない年齢である。つまり、純朴娘を装わせるのには無理があるというか。
 しかし、烏は目を微妙に泳がせた。

「……えーっと……」
「……仕込んでねえの?」
「使える、とは、聞いておりません」

 ヒノエは呆れた。―――マジかよ。

「だったらやらせてねえぞ…」
「で、ですよねえ…」

 おかしいと思ったのだ。ヒノエは無茶は言うが決して無体な男ではない。
 しかし、賽は投げられてしまった。命令の撤回は間に合わない―――何故無理ですと言わなかった。
 二人はこっそり空を仰いだ。


 
 ヒノエがヒノエ編より狡猾でいて優しいのは、このヒノエにとって望美が身内だからです。
 主と望美の距離感は巻により様々ですが、ヒノエを主とする烏な望美は、ヒノエとは家長とムスメというか、上下はあって逆らうことは許されないけど家族的な感じ、で書いています。

 それで銀ですが…

 そう、銀なんです。重衡じゃないので、泰衡の従者として重衡よりある意味重責のない身分で活き活きとしています。
 ……おかしいな。コンセプトは「人形同士が恋をした」だったのに、一方が活き活きと人形やってる……。
 
 うーむ、予想外です。
 望美と一緒に私が振り回されそうです。つまり、彼は出番を待ち焦がれていたのかもしれません。




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