更新日記
こんにちは、葉明です。
春の雨は桜が心配です。
肌寒い日が続くので、綺麗に咲き続けてくれているのが嬉しい。
そろそろ散りますかね~
ご入金ありがとうございます。
既刊を別送ご希望と確認できた方の分だけ、明日発送しますね。
ご入金は急ぎませんので、お手すきの時に。
できればオンライン入金など駆使してくださると安心します~
ではでは、更新です。
二話目!
本日も拍手・ご来訪、誠にありがとうございました^^
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遙かなる時空を越えて異世界を救うために召喚される――そう言えば聞こえはいいが、実際はこちらの都合お構いなしではないか。
そう、譲は考える。
望美がとある邸の湯殿に連行されている頃、譲もまた、まったく見知らぬ世界で炊き出しに駆り出されていた。
「それはもう少し煮ましょう。それは生でいいので刻んで、こちらの薬味と和えて…」
「精が出ますね、譲くん」
「弁慶さん…」
にこにこにこ。
望美とは異なる地点に放り出された譲を拾い、ここに放り込んだ黒衣の法師は、自らを武蔵坊弁慶と名乗った。
ちなみに譲は信用していない。
譲の知る「武蔵坊弁慶」は身の丈2mもあろうかという大男だったはずだからである。
だから、譲はこの男を信用して、今、このような炊き出しに協力しているのではなかった。
「―――別に、普通に調理しているだけです。それより、約束は覚えてくれているのでしょうね?」
「ええもちろん。ぼくがそんな簡単に約束を反故にするような嘘つきに見えますか?」
……見える。
というか、譲にとって現在進行形で弁慶は嘘つきなのだが、それをわざわざ口にしてこの男の不興を買うのは得策ではない。
何しろこの世界で譲に他に頼る相手はなく、たとえ信用ならなくてもこの男は先輩を探し出そうというのだから。
「……なら結構です。ですが、どうやって先輩を探すというのですか?まさか、この子たちを動員しようと?」
譲は炊き出しに並ぶ孤児たちをちらりと見た。
子どもたちは明るく元気だが、いかにも栄養状態が悪くやせっぽちだ。
自分が大きく気にすることではないのかもしれないが、彼らを利用することは心情的に躊躇われた。
(お優しいですねえ……さすが八葉、ということでしょうか。僕とは違って)
青臭い譲の表情を興味深く見つめながら、弁慶はそこはおくびにも出さずにくすくすと微笑んだ。
「まさか。彼らには他にすることがありますし、そんなに遠くに行けるだけの足もありません。ましてや少数で行動させて、怨霊に襲われたらどうするか」
「ですよね…」
譲は神妙に頷いた。
―――突然の光、そして濁流に呑まれた後、譲が放り出されたのはこの京の路地裏だった。
すぐ近くで悲鳴が聞こえ、慌てて駆けつけるとそこには化け物と―――すでに息絶えた母親らしき女と、縋って泣く少女がいた。
何故か手にあった弓矢で化け物を退治したはいいが、この化け物、怨霊といって、短期間で復活してしまうのだという。
復活できないよう「封印」できるのは、異世界から召喚された白龍の神子。
どうやら望美がそれにあたるのではないか、というのが、更にそのあと現れて、二体目の怨霊を退治してくれたこの男である。
譲は首筋、弁慶は手の甲に宝玉なるものが現れていた。
これは白龍の神子を守る八葉の証であり、守る相手なのだからいずれ引き合う―――探し出せる。
これが弁慶の論なのだが。
「先輩を守るのは……別にいいんですけど……」
「何か問題が?」
「大ありですよ」
譲は肩を竦めた。
―――先輩を、守る役目だというのなら、それはいい。
別にこんな世界でなくても、それは自分が勝手に決めた約束のようなものだから。
だが、先輩がそんな「白龍の神子」なんて役目を背負わされるのはおかしくないか。
何しろ、異世界、まったく縁もゆかりもない世界のことである。
そんなもののために先輩が何かを負わされるなんて間違っている。
―――はっきりそう言いたい譲が、それでもここにいるのは、やはり見てしまったせいだろう。
実際に怨霊に襲われる親子も、なすすべがなく荒廃する町も。
「お兄ちゃん…」
少女が不安を滲ませた顔つきで、譲の袖を引いた。
譲はなるべく優しい笑顔を心掛ける。
「……大丈夫だよ。俺はちゃんと、ここにいるから」
「……うん!」
母を喪った少女は、それからずっと譲にくっついている。
……無理もない。
後で現れた親戚だという男は、明らかに少女を保護以外の意味で連れて行こうとしていた。
まさか連れて行かせられない。見放せない。
すべてではなくても、自分の手の届く範囲だけでも。
そして―――こんな世界が、望美を守り、何かと戦うことで変わるというのなら。
「先輩…」
譲は憂鬱に空を見上げた。
―――はぐれたのは、望美とだけではない。
まあ、あっちはなんなりするとは思うけど。
「みんな、無事で……」
今の譲は、そうして祈る外にできることがなかったのだ。
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