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 こんにちは、葉明です。

 察した方もおられたと思いますが、今回は将臣回です。
 譲や将臣は望美と違って歴史を知っているので、白龍に言われる前にここがパラレルワールドだと気づいてそうですよね~

 しかし、これ、一切保存してないのですが、どこかに纏めないといけないかもしれない???


 気楽にお楽しみください。



 ……それにしても、街が異様です。
 感染経路潰しには必要なことですが、やっぱり日常が奪われてる感が半端ないです。
 大事な紀伊國屋書店も閉まりました。あああ…

 普段からこもりっこ葉明なのであんまり影響ないかな?と思っていましたが、とんでもなかったです。
 気分が塞がりますね。
 でも、今が踏ん張り時なんでしょうね。
 
 春コミの時もこっそり限定公開しましたが、あわせて何かするかもです。
 エアコミケでちょっと他にあれこれやることあるのでできるか微妙ですが、何かしたいと思います。ご希望があったらお寄せください。


 ではでは、また。
 本日も拍手・ご来訪、誠にありがとうございました!






拍手[5回]





 望美にも譲にもちっとも心配されていなかったもう一人は、とある男に拾われていた。

「お前、名は何という?」
「有川将臣」
「聞かぬ名だな」
「そうだろうな」

 牛車から尊大に名を問う男に、将臣は同じくらい尊大な態度で吐き捨てた。身体に縄をかけられながら。
 当然、将臣を取り囲んだ郎党たちが血相を変えた。

「おいお前っ」
「何だよ。聞かれたことに答えただけだぜ」

 しかも、こっちはただ道を歩いていただけで縄をかけられたのだ。不機嫌になるくらい、何だというのか。
 だが、郎党たちは将臣を叱ったのではなかった―――思い遣ったのである。

 将臣の前にいる男は、相国・清盛。
 その機嫌一つで平民はおろか、貴族の首が飛ぶ男。
 そんな恐ろしい存在を前に、将臣の態度は不遜に過ぎる。

 だが、郎党たちの不安に反して清盛は豪快に笑った。

「はっはっはっ、確かに!うぬは答えただけだな」
「だろう?―――で、あんたの名は?こっちは答えたんだ。あんたの名前も聞いていいだろう」
「こ、こらお前っ」

 郎党たちは更に慌てる。
 だが、将臣も何も何の思慮もなく男に名を尋ねた訳ではなかったし、男も怒らなかった。

「我の名か。名乗るのは久し振りよな。―――我は、平清盛。人によっては、相国と呼ぶ者もおるな」
「……平清盛……相国…」

 男の名前を口の中でだけ将臣は呟き、苦い顔をした。
 ―――将臣は、相手の名前によって、自分が今どこにいるのか確かめようとしていたのだ。
 が、尚更わからなくなった。

(清盛っつーことは平安時代か?でも相国ってわりには出家してねえしな…)

 古い町並み。
 将臣の知っている常識と異なる世界。
 これは単にタイムトリップ、というわけではないのかもしれない。

「その方、珍しい衣装であるな。もしや、異世界からの来訪者か?」
「えっ…」

 こちらが何を言うわけではないのに言い当てられて、将臣はつい絶句した。

「よ、よくあるのか、そういうこと?」

 一筋の光明が見える―――異世界からよく人が来るというのなら、帰る方法もあるのではないか。
 だが、それはバッサリ断ち切られた。

「よく、ではないな。前はざっと二百年ほど前ではないか」
「二百…」

 将臣はがっかりした。どうにもすぐ帰れる保証はなさそうだ。
 更に清盛は畳みかけてくる。

「お前は神子ではないな。では、八葉か」
「み、神子?八葉?」

 もちろん、そんな存在を将臣は知らない。
 が、清盛は鷹揚に頷くだけだった。

「我らでは検分できぬな。―――おい、星の一族に使いを出せ。邸に来させよ」
「は、ははっ」

 駆け出していく郎党。
 何やら面倒なことに巻き込まれている―――将臣はそう予感し、更にげんなりした。

「将臣」
「……何だよ」
「その方は邸に来い。もてなしてやる」

 牛車に手招きされて、強まったのは警戒心。
 ただタイムトリップというわけではなかったとしても、平清盛という男の列伝からそう離れてはいないだろう相手に、利用されそうな気配満々なのについていく気は将臣にはなかったが。

「―――俺は八葉とやらじゃねえかもしれないぞ?」
「別にそれでも良い。我が気に入ったからもてなすだけよ」
「けど…」
「まあ乗れ。……そなた、死んだ息子に少し似ておるのだ。性格は違いそうだがな…」

 聞かせる気はなかったのかもしれない。
 横柄に牛車の奥に消えながら呟いた清盛の小さな声を、将臣は拾ってしまった。
 ―――清盛の長子が彼より先に死んでしまうのも、知っていた。

 断りにくくなった。

「……わかったよ。くそ」

 ちらりと視線を流すと、残っていた郎党たちが将臣の縄に手をかけつつ囁いた。

「な、縄は解くが、お前、慎重にしろよ。な?」
「そうだ、気に入られていようが、一瞬で変わるからな!」

 ……こそこそした囁き声は、かなり真に迫っている。

(ンな悪人には見えねえ……と言いたいところだけどな)

 生憎将臣は歴史を知っている。

 そして―――息をついた。

(あいつら大丈夫かな…)

 ―――この先、三つ巴に争う事態となるのを、将臣も誰も、まだ知らない。





 双乱伝と被らないように必死です…

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