更新日記
こんにちは。
行き詰った葉明です。
いや行き詰ったというか・・・
風早と柊の掛け合いを楽しんでおりましたら、千尋が薄っぺらくなるのです。
それは嫌!
やっぱりたっぷり泣いてもらわなければね(サド)
そんなわけで楽しかったそこをがつっと削ることになりました。合掌。
寂しいからブログに畳んじゃおうかしら。ぐすん・・・・
そんなわけで、まだしばらくかかることになりました。
物語にしてしまう分、4の本は厚めになってしまいますね。
今度書く、弁慶・将臣の本も厚くなる予定ですが。
知盛は将臣とのオムニバスで切なめの構想が。
・・・・・・全部NLですよ。
ワタシ、読むのはギリギリオッケーですが、書けないの。
要はそういう要素がゼロなのね。
ん?
はいはい、主人公虐めは大好きです。
泣いて、傷ついて、そのあと立ち上がって下さい!
挫けないって大切ね。
さてさて、そろそろ・・・・・
今日で通販は終わりですね。
4はご希望あるのかしら・・・・
あるなら通販もしてみますが。
忍人さんも人気だったからやるのもいいんですが、ここは遙か3のファンがやっぱり多いのよね。
では、また。
本日も拍手・ご来訪・通販お申し込み、誠にありがとうございました!
通販連絡・発送、終わっています。
連絡が未着の方はお知らせくださいませ。
「ねえ、絶対におかしいと思うの」
「はは、何がですか千尋」
笑顔のまま、棒読みの風早に、千尋はむうと口を尖らせた。
毛野がどこだったか、ここが正確にはどこなのか、千尋は知らないが、肌で感じる外気温が随分と違う。
馬に乗った記憶はあるから早駆けしたのかもしれないが、それにしたって馬で稼げる距離には限界があると思うのだが。
一晩でこんなに違うものかしら?
薬の抜けた体だ。時間間隔は戻っている筈なのに。
「・・・・・・ここどこ?」
「熊野辺りですかねえ」
「・・・・・・・・風早がいたトコじゃないの?」
「高千穂は遠いですからねえ」
「????」
高千穂というところと、熊野と毛野の位置関係は千尋にはつかめない。
だが、実際に知ったなら尚更の疑問を抱いただろう。
一番近いところ―――熊野だって充分遠かったが、千尋を乗せて白麒麟で千尋が眠る間に疾走できる、その限界地点を風早は目指したのだった。
高千穂は気がかりだったが、さすがに連れて行けない。熊野はもっと連れて行きたくなかったが、戦には駆り出されないだろう分、千尋の命の危険は減る。
もともと大きく変わった歴史だ。何をしてもいいだろう。風早はもう腹を括っていた。
「―――あの方に会いにいきましょう」
中つ国に戻ると千尋が言うなら、それは避けて通れない道だから。
熊野の入り口、十津川の近くなると、せせらぎが響く。千尋が元気よく駆け出した。
馬を引いたまま、風早はその様子を優しく見つめる。
平和だった。
このままでいいんじゃないですか。何度もそう言いかけた。
だが、そうはいかない。
「ここにおいででしたか、我が君」
「―――柊」
忽然と現れた男に、反射的に風早は剣を向けた。
誰か分からない男の登場に、千尋はきょろきょろと戸惑い、慌てて風早の背後に隠れる。
柊は憮然としてみせた。
「随分な対応ですね、風早」
「あなたが現れると千尋が大変な目に遭うんですよ」
「ふふ・・・ひどい言い様だ。でもそれは、この先の人物に会わせる方が大変だと思うのですが」
「・・・・・・素通りできる相手でもないでしょう」
「そうですね、かの方は審神者の力をお持ちだから」
「あなたのように?」
柊を危険と見なし、一歩も譲ろうとしない風早である。千尋は風早の背後から柊を盗み見る。
抜刀した風早と対照的に、優雅に佇む隻眼のひと。
「・・・・・・・知り合い?」
「はい、我が君。私と風早は同門の友です」
「かつてです、かつて」
「冷たい男ですね、風早」
「身に覚えがないんですか」
交わされる毒舌は、知らない風早の一面を覗いてしまったかのようだ。
だんだん楽しくなってきて、千尋はくすっと笑みをこぼした。
「笑い事じゃありませんよ、千尋」
高千穂の地に根を下ろしていた風早たちは、この男に相当苦しめられている。
忍人などは「会ったら斬って捨ててやる」と戦のたびに息を巻いていた。師君は苦笑していたが。
「今は友達じゃないの?」
千尋の素朴な疑問に、柊は少し笑い、風早は何とも言えない顔をした。
(あんなネチネチ甚振られたら、忍人じゃなくてもキレますね・・・・)
今回初めて「中つ国で過ごす」歴史を辿った風早は、いつも通りなら千尋の柊参戦を認めた決断を「君の正気を今日ほど疑ったことはない」などと罵る忍人の苦労を嫌というほど感じていた。
味方なら百人力、と知っていたから、いつもは風早も柊を擁護していたが、今回はしたくない。
「友達じゃないと言いたいです」
「なんと酷い」
柊が大袈裟によろめいた。
「私が土雷の禄を食んでいたことはそれほどに重罪ですか。友情を砕くほどに!」
むしろ友情を砕いたのはあなたの策だ、と言いたい風早である。
だが、柊がここにいる意味は問う価値があるだろう。
「土雷・・・・あなたがレヴァンタに仕えていたのね」
「はい、その節はお目どおりもかなわず」
千尋が確認するように呟いた。
柊も否定しない。では、中つ国の敵ではないのだろうか?と、千尋は考えた。
ここで自分の敵ではないあたり、千尋にまだ戦の実感は少ない。
「けれど姫が中つ国に戻られると聞き、恥を忍んで御前に参りました」
「・・・・・・・どうやって?」
風早といい、不思議が多すぎる。
千尋は至極真面目に聞いたのだが。
「愛と忠誠をもちまして」
―――聞いた千尋が馬鹿だった。
だが、肩の力と毒気を抜かれた風早と千尋は、優雅に一礼した男の参入を結果的に認めた。
「今日よりあなたの軍師です」
どこかで聞いたような台詞である。
「・・・・・・千尋、もう一度聞くけど本気ですか」
「風早だって有能だって言ったじゃない」
つい認めてしまったお互いの責任を、千尋と風早は擦り付け合う。
少しして、プッと顔を見合わせて吹き出した。
二人、離れていた間の何かが、音もなく消え去ったようだった。
胸のつかえの取れた二人を、柊が静かに笑って見つめていた。
と、言っても、柊は二人に同行しなかった。
「ちょっと会うとまずいのが二、三人・・・・」
「そうなの?」
ぱちぱち、と、目を瞬かせる千尋と、遠い目をして生温く笑った風早である。
「あちこちに敵の多い人ですね」
「この美貌はよく妬まれるんです」
「ははは、さあ、どっか行って下さい」
柊を駄犬のように追い払う仕草を見せる風早だが、ふと真面目な顔つきをした。
「高千穂ですか」
「―――ええ、姫の軍勢を引っ張ってきます」
風早は難しい顔をした。
確かに狭井君だけのもとに千尋をおきたくない。手勢は必要だが、千尋自身の説得もなく、手痛い目に遭わせ続けた男が一人乗り込んで、何を言うことができるだろう。
千尋はじっと柊を見つめた。
まだ会って間もない男。
「そこまでしてもらって、いいの?」
「ええ、この初めての試みが楽しいのです」
試み?
千尋は首を傾げたが、柊はそれ以上語ろうとしない。
千尋は柊の目を覗き込むように見つめた。
翠と漆黒の交錯は、すぐに終息した。
「うん、任せる」
直感と即決は、いつものことである。変わらない千尋に柊が破顔した。
その飾らぬ率直さがいつも人を揺り動かすのだ。
どこにいてもどうしていても、変わらない少女。
「お任せを、我が君」
柊が会うとまずい内の二人が、ナーサティヤとアシュヴィンだと知っていたら、千尋は彼を信頼しなかったかもしれない。
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