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 こんにちは。
 なんとか目途が立ってきました。

 葉明がこんな無茶な発行数を維持できるのは、書く以外の作業を周りが支えてくれるからです。
 ちなみに、怨霊姫以降、葉明は発行の方針を変えてまして、最近発行部数を抑えています。
 じゃないと種類多く出せないんだもん~
 おかげで、発行年度の古い物の方が冊数は多めに残ってるんですね。
 昨日覗いたら、一番残ってるのが煉獄蝶だった・・・(笑)
 天界にてが、幸いながら完売しましたが、次に売り切れそうなのは、数としてはここに君がいる奇跡ながら・・・・勢いとしては雪割りの花の予感がいたします。ええひしひしと。


 まだちょっと流動的ですが、フライヤーは漫画で出せそうです。
 半分ずつお互いに譲歩しました。
 あれです、ページ構成をですねえ、理解しあえてなくて。
 怨霊姫のフライヤーをお持ちの方は、お分かりでしょうが、葉明はあんな構成にする気でした。
 要は6P分必要だった。
 ところが、那由多さんは7P持ってきたんですね。
 しかもその指定のページの通りにすると、どうにも構成が狂う。
 「???」と、お互いになりまして、喧嘩。

 ・・・・書いてみたら「えええそれくらいで?」と思うような喧嘩ですが、あんときゃマジだったんです。
 
 結局6P分いただいて、ちょこちょこ変えつつ、構成し直しました。
 全没はどうかと思うんだ。
 でも敦盛やヒノエはあくまで特典本の主役であって、本筋の主役のはずの将臣や知盛の扱いに首を傾げた、というのもバトルの理由でして・・・・
 愛の差があるのは分かるけど、趣旨を無視したらいかんと思うのよ、那由多さん。

 ただ、描いていただけているもの、であり、基本的に文句はつけないのが私の流儀であり礼節なので。
 那由多さんは仕事で依頼されて描いてるんだから、文句つけろ、って仰るんですがね・・・・
 じゃあ最初に言った趣旨無視はなんなのさー(泣)


 顛末はこんなものです。
 お騒がせいたしました・・・。

 それでは、ヒノエの抜粋を畳みまして、九郎に移りたく思います。

 本日も拍手・ご来訪、誠にありがとうございました!


拍手[0回]



「でも嬉しいよ。熊野の料理を、そんなに気に入ってもらえてさ」
「う―……」
 ヒノエに屈託なく微笑まれ、いつもの、どこか人を食ったような笑顔ではないそれに、望美も何も言えなくなる。
 ため息一つ。これでもう何も言わないことにした。
 そして興味を惹かれていた、ヒノエの傍の酒杯をにじり寄って見つめる。
「お酒、だよね?」
「ああ、気に入りのしずく酒さ。望美にはちょっと刺激が強いと思うけど……呑むかい?」
「よ、酔って帰れなくなっちゃうよ。……でもなー、うーん……」
 帰れなくなっちゃう、という言葉に、一瞬瞳を眇めたヒノエに気づかず、望美は真剣に検討している。
 だって本当に美味しそうにヒノエは呑むのだ。
 料理もとても美味しかったから、これも期待できるに違いないし……。
「じゃ、じゃあちょっとだけ……」
「……いいよ、好きなだけ」
 はい、と差し出された杯にドキドキしながら、望美はくいっと1回杯を傾けて、喉に酒を通した。
 喉が見知らぬ熱さに焼ける。
「わっ……」
「美味しい?」
 望美はちょっと考えた。美味しいかどうかは、他の酒を知らない望美には分からない。
 だが、嫌な感じはしない。何かが吹きぬけていくようだった。
「よく分からないけど……喉が熱い」
「ふふっ」
 望美の素直な感想に気を良くして、ヒノエは一気に残りの杯を煽ると、望美の膝に転がった。
「ひゃっ!」
「だ、め」
 咄嗟に逃げを打つ腰を捕えると、そのまま太腿に顔を埋めてしまう。
「こうさせていて?姫君」
「酔っぱらってるでしょう、ヒノエくんっ!せ、せめて膝枕にして!」
 望美が恥ずかしがって何とか腰を浮かそうとするので、ヒノエはそのまま回って仰向けになった。
「これでいいんだね?」
「う……」
 上目遣いに微笑まれて、自分で言ってしまったことだけに、望美も駄目だとは言い辛い。
 またため息だけで許すことにした。どうにも負けが続いている。
望美の陥落に、ヒノエは子どものように笑った。
そしてふと、表情を改める。
「ありがと、望美」
 ……これに、二つの意味が込められていることに、望美は気づいただろうか。
 探るように見ていると、見つめられるのが恥ずかしいのか、望美が視線から逃げ出して呟いた。
「わ、私も悪かったもん。助けてもらったのに…」
 どうやら伝わっているようだ。ヒノエはまた落とすように微笑んだ。
 こうした望美の聡さは、ヒノエの気に入るところだった。そして、決して表面だけでない優しさと。
 望美が、八葉を護りたいと言ったときから―――
「お前じゃないと助けなかったけどね……」
 たとえ神子姫でも。
 正体をばらす愚を犯しかねない場面で、ヒノエ自身が出ていったのは、相手が望美だったからだ。
 計算して出ていったのでは、ない。
「そうでもないと思うな。困ってる女の子を見捨てるヒノエくんじゃないでしょう?」
「まあね。でも、自分で行かなくてもいいだろ」
 あんな、名乗ってしまうかもしれない場面で。
 ―――今でも思い出す。凍りついた瞳。
 ヒノエは少し、遠い目をした。そして心底思う。
「……お前が許してくれて、よかった」
「……ヒノエくん……」
「もうお前に隠さなくてもいい、ってことも、結構気分いいんだ。どうしてだろうね……」
 ヒノエが正体を隠すのは当然で、それを苦に思ったこともない。望美に対しても。
なのに、望美が許してくれたと知った瞬間、ヒノエの中の鉛のようなものが跡形もなく消えた。
こんなに楽しい酒を心ゆくまで過ごしたのは初めてな気がするほど、ヒノエは心の軽さを感じていた。
(帰したくないな……)
 それは宿にか、戦場にか、―――元の時空にか。
 あるいは全部かもしれない。
 望美の長い髪を指で弄びながら、ヒノエは緩く思案する。
 帰したくない……この、安らぎを自分のものにしてしまいたい。
 ヒノエの葛藤には露ほども気づかずに、望美がぽつりと言った。
「……実はね……町を見てきてって言ってくれたの、弁慶さんなんだ」
「……弁慶?」



 おお、長く取ってしまった(^^;
 しずく酒と涙をかけたお話です。

 しずく酒は葉明の好物のひとつ。
 ちょっとアルコール度が高めのお酒です。

 


 
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