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 こんにちは、葉明です。

 今日は、ヒノエの抜粋を持ってきました^^
 大きな波はありませんが、たまにはこういうのもいいねって思っていただけたら嬉しいです。

 知盛のサンプルも、上で繋げています。
 明日にはサイトのインフォでも繋げますね~
 いつの間にか孟徳さんのバーが、緑・青・赤って感じで変わっていって、びくー!としています(^^;
 元気いいなあ・・・

 
 ご入金もご連絡もありがとうございます^^
 イベント当日は東京に泊まり、夜行バスで帰っていきますので、発送は21日になるかと思います。
 出来るだけ早めで頑張りますね。
 楽しんでいただけると嬉しいです^^


 さああともうひと踏ん張りです―――
 

 頑張ってきますね。
 本日も拍手ご来訪、誠にありがとうございました!


 

拍手[3回]




 オレの胸の中に、小さく焔が灯る。
 それは、特にめずらしいことじゃないと思っていた。





 オレの名は、ヒノエ。
 何を隠そう熊野別当―――ではあるんだけど、それは内緒にしてくれるかい?
 これでも一応隠密行動中なんだ。
 ま、その標的である、とある神子姫様とは早々に接触しちまったけど、動向を近くで見られるのは悪くない。
 さて、その神子姫様だけど……いたいた。
 京邸の庭で我武者羅に剣を振るう神子姫様、望美を見つけて、オレは足を速めた。
「よ、姫君。精が出るね」
「ヒノエくん!」
 望美はオレに笑顔を向けてはくれたけど、寄ってこようとはしてくれない。
 ……おいおい、まだやってる気かい?
 まだ春先なのに、玉の肌には汗が浮いているし、剣を握る手もかなり赤くなっている。
 潮時だと思うんだけど?
 仕方なく、オレは望美を誘いかけることにする。
「なあ、花見に行こうって言ってただろ。今からオレと一緒に行かないか?」
「え、今から?」
 望美は目をパチパチと瞬かせた。
 考えもしていなかった、そんな風に。
「そうだよ。いいだろ?」
 今日は、各々に用事があって、リズ先生とやらは探しに行かないものらしい。
 九郎や景時は源氏の用事に出かけているし、あのうるさい弁慶も留守、譲も朔と一緒に、夕餉やら何やらの買い出しに出かけている。
 今なら他に邪魔者はいない―――それに、そろそろやめてもいいと思うんだよね、その手。
 それ以上根を詰めてやっていると、本当の本当に姫君の手じゃなくなるぜ。お前の手触りはかなりいいから、惜しいと思うんだよね。
 だけど、望美の反応は芳しくなかった。
「……うーん、でも、まだもう少し剣もやっておきたいんだよね」
「でも、桜はすぐに散ってしまうぜ」
「それはそうなんだけど……」
 何だよ、強情だな。そんなお前も悪くないけどね、ここは強引にいかせてもらおうかな?
「そんなに言うなら、賭けをしないかい?」
「賭け?」
「そう、コイツで決めるのさ。オレが勝ったら、花見に付き合ってよ」
 オレは、それを指の上で弾いて披露しつつ、囁く。
 これにはちょっとした仕掛けがある。勝ったら、なんて言って、当たり前にオレが勝つんだけどね。
 そのへんは見逃してくれよ。
 極上の一日をお前にはくれてやるから、いいだろう?
「―――いいよ、じゃあ」
 賭けという手段が気に入ったのか、望美は挑戦的に瞳を煌めかせて頷いた。
 その顔は悪くないね、でも……。
「へえ、裏でいいの?」
「うん、いいよ」
 ……やれやれ、この宋銭は使えねえな。
 あいにく、表同士がくっついた銭は今、持ち合わせてないんだよね。
 オレは、普通の宋銭を閃かせ―――
「ふふっ、勝っちゃった。じゃあ、続けるね」
「ちえっ」
 ……負けた。
 天意は望美にあったらしい。
 にっこり笑った望美は可愛いけど、またすぐに稽古に戻ってしまった。
 藤色の髪が、望美の動きに合わせて揺れる。
 真剣なまなざし。
 もうオレのことなんか、念頭にもないんじゃない?
 オレは、何となく立ち去れずにその様子を見つめ……、
「でも、どうしてそんなに頑張るの?」
 問いかけた。だって、ずっと不思議だったから。
……見ている限り、望美の剣技はかなりのものだ。
そこらへんの怨霊はおろか、これなら並の武士じゃ歯も立たないだろう。
そこまで気合を入れた修練の必要はない――というか、そもそも神子ってのは八葉が守るから、戦場に居合わせるのはこのご時世には仕方ないとして、修練の必要はないんじゃないの?
戦わなくても、最後の封印にだけ参加すればいい。
それで十分。
―――それが普通、なんじゃないの?
「うーん、やっぱり身を守るのには必要だし……私には守りたい人たちがいるから」
 意外な答えに、オレは目を瞬いた。
「守りたい人たち?――お前は白龍の神子様だろ。どっちかって言うと、オレ達八葉に守られる側だと思うんだけど?」
 少なくとも、史実にある神子姫様ってのはそうだ。
 封印の能力の他に剣技に優れてた、なんて記述はどこにも見当たらない。
 それに、そんなことじゃ八葉の意味がなくなっちまうからね。
 だけど、望美はきっぱりと言った。
「そんなの……守られるだけじゃ嫌だよ。私も八葉のみんなを守りたいの」
 迷いのない瞳。
 そこに憂いを感じるのは、どうしてだろうか。
 そして、最近出会ったばかりのオレたち、数人は顔も見ていないような相手に、どうしてそんなに情熱をかけられるのか、まったく理解できなかった。
「――――へえ。勇ましい姫様だね」
「こんな神子は、変かな?」
「そんなことはないさ。オレは大歓迎だよ」
 ……意外っちゃ意外だけどね。
 理解もできないし。
 だけど、悪くない―――少なくとも窮地に陥ったとき、望美が我先にと逃げ出すことはなさそうだ。
 そういうのも時には必要だけど、最初から逃げる算段のついた奴と一緒に戦うことほど興醒めなことはない。
 だけど……ね。
 本当にそれで、いいの?




 めずらしく地の文章が一人称です。
 ヒノエ視点、望美視点、ヒノエ視点の三章立て。
 
 前に「これは本当に全年齢でいいんですか」と聞かれたヒノエの本があったので、思いっきり全年齢にしてみました。
 何の挑戦だ! 




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